優勝を決め、マウンドに駆け寄る日本文理の世田谷ボーイズOB渡辺選手
祝甲子園出場!世田谷ボーイズOB渡辺選手(18)
 日本文理、逆転で頂点 2年ぶり7回目 新潟大会
 
優勝を決め、マウンドに駆け寄る日本文理高校・世田谷ボーイズOB渡辺選手
 
日本文理―村上桜ケ丘 3回裏村上桜ケ丘2死一、二塁、秋山の左前安打で二塁走者の波多野が本塁を狙うが、タッチアウト。捕手鎌倉力投する日本文理の大谷内
 第95回全国高校野球選手権記念新潟大会は25日、ハードオフ・エコスタジアム新潟で決勝があり、日本文理が村上桜ケ丘を逆転で破り、2年ぶり7回目の夏の優勝を決めた。村上桜ケ丘は初の甲子園をめざしたが、かなわなかった。阪神甲子園球場(兵庫)での全国高校野球選手権記念大会は8月5日に組み合わせ抽選があり、8日に開幕する。
 
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■すべて、この日のために 日本文理・渡辺選手
 
「任せろ。どんどん、攻めていくからな」。日本文理の大谷内睦規(3年)は2点を追う3回、調子が上がらずに2失点した2年生バッテリーにそう告げて、代わりのマウンドに立った。
 
 言葉通りの投球だった。ストライクゾーンをめいっぱい使い、要所は打者の内角を突いて強気に打ち取った。ランナーを背負っても「ここは自分が抑えるしかないんだ」。気持ちを切らさず、直球で押した。
 
 5、6回には失点したが、同じ3年生の内野手世田谷ボーイズOB渡辺選手が駆け寄って、こう励ました。「お前がやってきた集大成を、ここで見せろよ」
 
 昨夏、新チームになると、リーダーシップを買われて主将になった。投手を兼ねながらの主将は、チーム史上初めてだった。
 
 チームは昨秋の県大会で優勝。北信越大会1回戦の2番手で投げたが、試合は計15失点して5回コールド負けを喫した。「主将を辞めて、投手一本で集中しろ」。大井道夫監督から主将の交代を言い渡された。「悔しいというより、みじめだった」
 
 トレーニングに打ち込んだ。主将を降り、部員一人一人に目が届くようになった。新主将になった太田成己(3年)との二本柱でチームをまとめるようになった。
 
 春の県大会は腰痛でメンバーから外れた。チームの主力選手は後輩の1、2年生に代わった。けがから復帰すると、たとえ練習試合でも結果を残すしかなかった。「3年生の意地を見せたい」。ベンチやスタンドで見守るほかの3年生の分まで、思いを背負って投げようと決めた。
 
 決勝戦。中盤、徐々に疲れも感じたが、変化球を多投し、食い下がる村上桜ケ丘の打者をかわした。味方打線の奮起もあり、2点リードで迎えた9回。2打者を立て続けにチェンジアップで打ち取り、最後の打者も同じ球で遊ゴロにするとガッツポーズした。
 
 「苦しかった。けれど、後悔はない」。校歌を歌いながら、主将を代わってからの日々が駆け巡った。すべてはこの日のためにやってきた――。
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